それでは今週もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は2003年から2017年まで販売されたトヨタの5ナンバーサイズミニバン「ウィッシュ」です。
今回のテーマは初代ではなく「2代目」のトヨタ ウィッシュ
2003年から2009年まで販売された初代ウィッシュは、先行してデビューしていたホンダ ストリームと「サイズもデザインもコンセプトもほぼ一緒!」みたいな形で話題となり、ストリームと(ある意味)血みどろの抗争を繰り広げました。
抗争(?)の結果、ストリームと初代ウィッシュはどちらも非常によく売れたので結果としては万々歳といったところなのですが、初代ウィッシュは年式的にすでにやや古いということで、本稿は2009年から2017年まで販売された「2代目トヨタ ウィッシュ」に絞って話を進めます。
「4~5人乗りの車」として考えれば車内は十分広い
まずは簡単なモデルプロフィールを。
2009年4月にデビューした2代目ウィッシュは、初代と比べて目つきと顔つきなどは変わったものの、中身としては「キープコンセプト」でした。
ベーシックグレードなFFモデルの寸法は全長4590mm×全幅1695mm×全高1590mmという日本の道で使うにはジャストな5ナンバーサイズで、ホイールベースも初代と同じ2750mmでした。ただしスポーティグレードである「1.8S」と「2.0Z」は全幅が若干広いため、3ナンバー枠でしたが。
シートは7人乗り仕様が「2人-3人-2人」というフォーメーションになりますが、2列目をキャプテンシートとした6人乗り仕様も設定されたのは初代ウィッシュと同様です。
2列目シートは前後に20cmスライド可能なため、これを最後部にセットすれば、5ナンバーサイズであってもウィッシュの2列目ななかなか快適な空間です。しかしその状態だと3列目は正直かなり狭くなります。
そのため、いちおう6~7人乗りのウィッシュではあるのですが、実質的には4~5人乗りの車として考え、普段は3列目は畳んでおき、そこは荷室として使う。そして知人などを「ちょっとそこまで」という感じで送迎する際だけは3列目シートを起こして使用する――というのが、この車の正しい使い方ではないかと思います。
搭載エンジンは、吸排気のバルブタイミングコントロール「バルブマチック機構」を備えた1.8L(最高出力144ps)と2L(同158ps)。初代ではATとCVTが使い分けられていたトランスミッションは、2代目ではすべて7速マニュアルモード付きCVTに変更されました。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです
マイナーチェンジを行うも、低床ミニバン全盛の時代は去った
2012年4月にはマイナーチェンジを実施。燃費性能の向上を図るとともに、外観のデザイン変更とインテリアの質感向上が行われました。
外観はラジエターグリルとバックドアガーニッシュのデザインを変更するとともに、LEDリアコンビネーションランプとサイドターンランプ付きドアミラーを採用。またグレードによっては新デザインのエアロバンパーやブラック塗装に切削光輝加工を施したアルミホイールが採用され、フロントフォグランプにメッキ加飾が施されるなど、よりスポーティーなイメージになりました。
インテリアでは、センタークラスターとパワーウィンドウスイッチベース(1.8S/1.8G/2.0Z)にカーボン調加飾が採用されたほか、グレードごとに専用のシート表皮とメーター色を設定。さらに「2.0Z」と「1.8S」には、コーナリング中の不要なシフトアップを抑制する「G AI-SHIFT」付きのCVTスポーツモードが採用されました。
しかし「5ナンバーサイズ低床ミニバン」の人気は日増しに陰っていきました。その結果として2017年10月、2代目ウィッシュはトヨタの公式サイトから姿を消し、日本市場においては「プリウスα」に統合されるニュアンスで販売終了となりました。
注目はズバリ「100万円以下ぐらい」の中古車
さて、そんな2代目トヨタ ウィッシュをこれから買うとするならば、新車はすでに販売終了となっていますので「中古車」を探すほかありません。
幸いなことに2代目ウィッシュの中古車流通量は非常に豊富で、2019年4月上旬現在、カーセンサーnetへの掲載台数は全国で776台。相場は20万~210万円といった塩梅です。
ただ、20万円ぐらいの超激安車を買うのはちょっとどうかと思いますし、逆に210万円(乗り出し価格で考えると230万円ぐらい)も出して、決して最新の設計ではない低床ミニバンを買うのも考えものです。そこまでの金額を出すのであれば、それを元手に最新世代の何かを買うほうが、たぶんですが幸せになれるはずです。
もしも2代目ウィッシュの中古車を狙うのであれば、予算はズバリ「100万円前後」といったところでしょう。
車両価格100万円以下ぐらい、総額で見ても「100万円ちょいぐらい」で結構いい感じの物件が見つかったならば、それってかなりお買い得……というイメージです。
前期/後期の1.8Xまたは後期1.8Sを探したい
では車両100万円以下ぐらいのゾーンでどんな2代目ウィッシュが探せるかというと……これがなかなかいい感じの物件が見つかるのです。具体的には、あくまで「イメージ」ではあるものの、おおむね以下のとおりです。
【ベーシックな感じがお好きなら】
●2010~2013年式1.8X|走行3万km台、修復歴なし
2012年4月にマイナーチェンジが行われましたので、上記は前期型と後期型が入り混じっています。ですが、これはなかなかお値打ちな選択となるでしょう。「1.8X」というのはベーシックグレードですが、装備面での不安は特になく、1.8Lエンジンも(決して速くはありませんが)この車の「何かとちょうどいい」というキャラクターにはよく合っています。
【スポーティな感じがお好みなら】
●2012~2013年式1.8S|走行3万~4万km台、修復歴なし
こちらは後期型のスポーティグレードです。上記1.8Xと比べると若干お高くなりますが、それでも車両98万円/総額120万円ぐらいのゾーンでまずまず好条件な一台が探せるはず。後期型スポーティグレードならではのエアロバンパーやホイールは、2019年の今見てもなかなかカッコいい感じです。もちろん中古車としてのコンディション次第ではありますが、もしもいい感じの個体と巡り合うことができたなら、なかなかの良い買い物となるでしょう。
「何かとちょうどいい車」として貴重な存在
今となっては旬の時期が過ぎてしまった5ナンバーサイズの低床ミニバンというジャンルではあります。でも、世の中のブームうんぬんではなく「我が家の事情」として、それがハマるご家庭もきっとあるはず。
7名フル乗車にはあまり向かないトヨタ ウィッシュというミニバンではありますが、4人ぐらいのご家族であれば、この「何かとちょうどいい感じ」がマッチすることもあるのではないかと思います。
もしも、ご家庭の事情的に「100万円ちょいぐらいで買える、ちょっといい感じの3列シート車」を探しているのであれば、2代目トヨタ ウィッシュの中古車というのはけっこう悪くない選択であるはずです。
多少なりともご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]